「趣味を欠いた想像力ほど恐ろしいものはない」

- 1749年8月28日~1832年3月22日
- ドイツ出身
- 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家
英文
“Nothing is more fearful than imagination without taste.”
日本語訳
「趣味を欠いた想像力ほど恐ろしいものはない」
解説
この名言は、想像力という力が美的判断や節度を伴わなければ、破壊的かつ無秩序なものになりうるというゲーテの美学的かつ倫理的な警告である。彼は芸術家として創造の力を高く評価しつつも、それを導く「趣味(taste)」、すなわち洗練された感性や道徳的な抑制が不可欠であると考えていた。想像力は人間に自由を与えるが、それが方向性を失えば、醜悪や暴力へと変貌する危険をはらむ。
「taste(趣味)」とは単なる好みではなく、真・善・美を見極める判断力を指す。これが欠如した想像は、感性を刺激するどころか、無秩序な混乱や不快感を生み出す。ゲーテは、芸術だけでなく人生においても、創造性と節度、美意識と責任が結びついて初めて、人間らしい表現や行動が成立すると説いたのである。
現代においては、メディアやインターネット上で表現の自由が拡大する一方で、趣味や節度を欠いた過激な想像力が社会を混乱させる場面が増えている。この名言は、創造の自由を正しく導くためには、内面的な教養と美的感覚の成熟が不可欠であるという普遍的な真理を語っている。想像力は力であり、同時に扱いを誤れば恐るべき暴走の源ともなりうる──この言葉は、その二面性への警鐘でもある。
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