「私たちはたいてい今日を失ってしまう。なぜなら昨日があり、明日がやって来るからだ」

- 1749年8月28日~1832年3月22日
- ドイツ出身
- 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家
英文
“We usually lose today, because there has been a yesterday, and tomorrow is coming.”
日本語訳
「私たちはたいてい今日を失ってしまう。なぜなら昨日があり、明日がやって来るからだ」
解説
この名言は、人間が過去と未来に心を囚われるあまり、現在という最も現実的で貴重な時間を見失ってしまうという人生の本質を鋭く指摘している。昨日の後悔や思い出、明日への不安や期待が心を支配し、「いまここ」に意識を向けることが難しくなる。ゲーテはここで、人生の中で最も失いやすく、そして最も大切なものが「今日」だという逆説的真理を語っている。
ゲーテは、生涯にわたって「時間」や「生の意義」というテーマに取り組み、特に『ファウスト』では「この瞬間に『とどまれ、お前は美しい』と言えたら人は救われる」という思想を描いた。彼にとって、現在を見つめることこそが真の生の証であり、精神的充実への鍵であった。この名言も、過去に悔いず、未来に怯えず、「今日」をしっかりと生きよという彼の生の哲学に深く根ざしている。
現代でも、過去のトラウマや将来への不安が多くの人の心を占め、スマートフォンやスケジュール帳に振り回されて「今」を味わう余裕を失うことが少なくない。この名言は、過去と未来に引き裂かれがちな私たちに、「今日という一日」を取り戻すことの尊さと必要性を思い出させてくれる。ゲーテは、幸福も自由も、過去でも未来でもなく「今日」にしか存在しないと語っているのである。
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