「人が本を書くなら、自分が確かに知っていることだけを書いてほしい。推測なら、自分でいくらでもできるのだから」

- 1749年8月28日~1832年3月22日
- ドイツ出身
- 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家
英文
“If a man writes a book, let him set down only what he knows. I have guesses enough of my own.”
日本語訳
「人が本を書くなら、自分が確かに知っていることだけを書いてほしい。推測なら、自分でいくらでもできるのだから」
解説
この言葉は、著述における誠実さと確実性の重要性を強く訴えている。著者があいまいな推測や想像ばかりを並べるのではなく、自らの経験や理解に裏打ちされた確かな知識をもって語るべきだという思想が込められている。読者はすでに自分の中に「推測」や「憶測」を持っており、求めているのは信頼に足る知見や洞察である、という現実的な認識がこの言葉の背景にある。
ゲーテは、生涯を通じて文学、自然科学、哲学など多方面で著作を行ったが、常に実体験と観察を重視し、空虚な理論に流されることを避けた。彼にとって文章とは、知と誠実さの結晶であり、読者との真剣な対話の手段であった。この名言は、知的誠実さこそが著述家に最も求められる資質であるという、彼の著作活動における根本理念を示している。
現代では情報の氾濫により、曖昧な情報や確証のない主張が容易に拡散される時代となっている。そうした中でこの名言は、言葉を発信する者すべてに対し、「知っていること」と「思っていること」を区別し、責任をもって語るべきだ」という倫理的警告として機能する。ゲーテは、推測よりも知識、空想よりも真実を尊重せよと、著述の本質を鋭く突いているのである。
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