「敵を征服する者よりも、自らの欲望に打ち克つ者こそ私は勇者と呼ぶ。なぜなら、最も困難な勝利は自己に対する勝利だからである」

- 紀元前384年~紀元前322年
- 古代ギリシャのマケドニア出身
- 哲学者、科学者、学園「リュケイオン」設立者
英文
“I count him braver who overcomes his desires than him who conquers his enemies; for the hardest victory is over self.”
日本語訳
「敵を征服する者よりも、自らの欲望に打ち克つ者こそ私は勇者と呼ぶ。なぜなら、最も困難な勝利は自己に対する勝利だからである」
解説
この言葉は、アリストテレスが『ニコマコス倫理学』で述べた節制と自己制御の徳に関する核心的な思想を示している。彼にとって真の勇気とは、外敵との戦いではなく、内なる欲望や衝動に理性で打ち勝つ力である。つまり、自己の支配こそが最も高貴で困難な戦いであり、それに成功した者こそ真の勇者であると考えた。
アリストテレスは、徳を中庸を保つ習慣的性格と定義しており、節制や自制は快楽や怒りなどの感情を理性の指導のもとに抑えることによって形成される。この内面的な統御こそが、外的な勝利よりも価値あるものとされる。なぜなら、外敵は時に偶然や運によって征服されることもあるが、自己の克服には不断の努力と知恵が必要だからである。
現代においても、依存症、怒り、欲望といった内面的課題に直面する人々にとって、この名言は自己成長と人間的完成のための倫理的目標を明示している。他者との競争よりも、自己との対話と制御に価値を見出す姿勢こそが、個人の自由と人格の高みに通じるというアリストテレスの教えは、時代を超えて響き続ける。
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