「私たちが身の丈に合った生活をし、慎み深く生きるならば、世界の70億の人々すべてが必要なものを持つことができる。世界の政治はその方向に進むべきなのだ。しかし私たちは、人類としてではなく、人や国家として考えてしまう」

- 1935年5月20日~2025年5月13日
- ウルグアイ出身
- 第40代ウルグアイ大統領、政治家、元ゲリラ闘士
英文
“If we lived within our means – by being prudent – the 7 billion people in the world could have everything they needed. Global politics should be moving in that direction. But we think as people and countries, not as a species.”
日本語訳
「私たちが身の丈に合った生活をし、慎み深く生きるならば、世界の70億の人々すべてが必要なものを持つことができる。世界の政治はその方向に進むべきなのだ。しかし私たちは、人類としてではなく、人や国家として考えてしまう」
解説
この発言は、ホセ・ムヒカの倫理的で持続可能な世界像を端的に示している。彼は、世界に存在する資源そのものが不足しているのではなく、富と消費の不均衡こそが問題の根源であると指摘する。もし人々が過剰な欲望を抑え、慎ましさ(prudence)を持って暮らすならば、全人類が基本的な生活を享受することは可能であるという、資源分配の倫理的理想がここに語られている。
またムヒカは、現代の政治が国民国家という枠組みに縛られ、人類全体の福祉や存続を俯瞰する視点を欠いていると批判している。「人や国家として考える」という表現は、自己中心性やナショナリズムの限界を示しており、それを乗り越えて「種として考える」こと、すなわち地球規模の連帯と責任を共有する思想への転換を求めている。
この言葉は、気候変動や環境破壊、極度の貧困といったグローバルな課題に対して、政治と個人の両方が意識を変えるべきであることを示唆している。たとえば、先進国が過剰消費を抑制し、発展途上国が持続可能な成長を遂げるには、国家を超えた協調と倫理の共有が不可欠である。このように、ムヒカの言葉は人類全体の未来に対する深い哲学的提言なのである。
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