「イエスは、誇ることなく近づくことができ、絶望することなくへりくだることができる神である」

- 1623年6月19日~1662年8月19日
- フランス出身
- 哲学者、数学者、物理学者、キリスト教神学者
英文
“Jesus is the God whom we can approach without pride and before whom we can humble ourselves without despair.”
日本語訳
「イエスは、誇ることなく近づくことができ、絶望することなくへりくだることができる神である」
解説
この言葉は、パスカルのキリスト理解を端的に示したものであり、神の絶対性と人間の惨めさとの間において、イエス・キリストがいかに特別な仲介者であるかを語っている。彼にとってイエスは、ただ畏れられる存在ではなく、人間の弱さと罪を理解し、受け入れる存在であり、信仰を持って近づくことのできる慈愛の神である。
この名言に込められた逆説的な真理は、パスカルの神学思想の中核である。人は神の前に出るとき、通常であればその偉大さに圧倒されて絶望するか、あるいは自らの徳を誇って傲慢になる危険がある。しかしイエスにおいては、神の威厳と人間的な憐れみが一致しているため、人は自己を偽ることなく、ありのままへりくだることができるのである。
現代においても、多くの人々が宗教や信仰に対して距離を感じるのは、神の超越性や絶対性が近づき難いものに見えるからである。この名言は、イエスの存在がその距離を埋めるものであり、人間の尊厳を損なうことなく真に自己を明け渡せる対象であることを示している。パスカルはここで、信仰とは恐れや誇りではなく、安心して委ねられる関係の中にこそ成立するという深い救済観を語っている。
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