「恋をしているとき、私たちは自分が以前とはまったく違う存在に思えてくる」

ブレーズ・パスカルの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ブレーズ・パスカルの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1623年6月19日~1662年8月19日
  • フランス出身
  • 哲学者、数学者、物理学者、キリスト教神学者

英文

“When we are in love we seem to ourselves quite different from what we were before.”

日本語訳

「恋をしているとき、私たちは自分が以前とはまったく違う存在に思えてくる」

解説

この言葉は、恋愛が人の自己認識を根本から変える力を持っているというパスカルの鋭い観察に基づいている。彼は、恋に落ちるという経験が単に感情的な変化にとどまらず、人が自分自身をどう感じ、どう見るかという認識のあり方にまで影響を及ぼすことを見抜いていた。恋愛は、自己の境界を溶かし、自己像を理想化し、時には誇張された新しい自己を作り出すのである。

この見解は、パスカルの人間の不安定さと印象の可変性に関する思想ともつながっている。恋愛の高揚は、普段の自分を忘れさせ、相手を通じて自分を見つめ直す鏡のような効果を持つ。その結果、恋愛中の人間は、以前の自己を振り返って「まるで別人のようだ」と感じることになる。これは、感情の劇的な力と、自己意識のもろさを浮き彫りにしている。

現代においても、恋愛が人の行動や価値観、自己評価を大きく変える現象はよく見られる。この名言は、恋の魔力が単なる感情以上のものであり、人間の存在そのものの感じ方を変える根源的な力を持つことを教えてくれる。パスカルはこの一言で、恋愛と自己変容の深い関係性を簡潔に、そして鋭く言い当てている。

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