「人は宗教的信念に基づいて行うときほど、完全に、そして喜々として悪を行うことはない」

ブレーズ・パスカルの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ブレーズ・パスカルの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1623年6月19日~1662年8月19日
  • フランス出身
  • 哲学者、数学者、物理学者、キリスト教神学者

英文

“Men never do evil so completely and cheerfully as when they do it from religious conviction.”

日本語訳

「人は宗教的信念に基づいて行うときほど、完全に、そして喜々として悪を行うことはない」

解説

この言葉は、宗教と悪行の関係に対する深い警鐘である。パスカルは、宗教が本来は道徳や愛を教えるものであるにもかかわらず、それが誤って解釈されたとき、人間の悪行を正当化する最も強力な根拠となりうることを見抜いていた。特に宗教的確信は、本人にとって絶対的な正義であるため、罪の意識すら伴わない危険をはらんでいる。

この指摘は、パスカルが生きた17世紀の宗教戦争と宗派対立の時代背景とも強く結びついている。彼はカトリック教徒として、宗教改革や異端審問、ユグノー迫害といった現実に直面し、信仰が人を救う一方で、人を盲目にもすることを身をもって理解していた。この名言は、宗教が個人の謙遜と内省に基づかないとき、容易に暴力や迫害の道具となることを警告している。

現代においても、宗教的原理主義やテロリズム、差別や排外主義といった問題において、この言葉は重い意味を持ち続けている。信念の強さが判断の柔軟さを奪い、人間性を覆い隠す危険を孕むという認識は、あらゆる信仰にとっての自省の基準となるべきである。

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