「スペインの王たちは我々に征服者と支配者をもたらした。彼らの足跡は、川の砂金を求める者たちに与えられた円形の土地割りに残されており、それは今なお、国の多くの地域で上空から確認できる、搾取の暴力的かつ恥ずべき形跡である」
- 1926年8月13日～2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“The kings of Spain brought us the conquistadores and masters, whose footprints remained in the circular land grants assigned to those searching for gold in the sands of rivers, an abusive and shameful form of exploitation, traces of which can be noted from the air in many places around the country.”
日本語訳
「スペインの王たちは我々に征服者と支配者をもたらした。彼らの足跡は、川の砂金を求める者たちに与えられた円形の土地割りに残されており、それは今なお、国の多くの地域で上空から確認できる、搾取の暴力的かつ恥ずべき形跡である」
解説
この言葉は、フィデル・カストロがラテンアメリカにおける植民地主義の歴史とその物理的・経済的・精神的影響を、象徴的かつ具体的に批判した発言である。「スペインの王たちがもたらした征服者と支配者」という表現は、暴力と略奪を正当化する権力構造の頂点にある存在を明確に告発している。
特に注目すべきは、「円形の土地割り」という地理的・視覚的なイメージを用い、植民地支配による土地の不当な分配と自然資源の搾取が、今なお地形として残っているという歴史の可視性に訴えている点である。それは単なる過去の話ではなく、今なお風景に刻まれた不正義の記憶であり、制度的搾取の構造がいかに深く社会に根付いてきたかを物語る証拠となっている。
現代においてこの言葉は、植民地主義の遺産がいかに現代の社会的格差や環境破壊、土地所有の不均衡といった問題に直結しているかを理解する手がかりとなる。カストロのこの発言は、歴史を語ることが現在の不正義を認識し、是正するための道であるという思想に基づいた、深い歴史批評の言葉であり、植民地主義批判の核心を突いた政治的声明である。
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