「刑法における基本原則は、起訴された犯罪が法律に記載された犯罪類型と正確に一致していなければならないということである。もし問題となる事案に正確に適用できる法律が存在しなければ、それは犯罪とはみなされない」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“It is a fundamental principle of criminal law that an imputed offense must correspond exactly to the type of crime described by law. If no law applies exactly to the point in question, then there is no offense.”
日本語訳
「刑法における基本原則は、起訴された犯罪が法律に記載された犯罪類型と正確に一致していなければならないということである。もし問題となる事案に正確に適用できる法律が存在しなければ、それは犯罪とはみなされない」
解説
この言葉は、法の支配と刑事司法の厳格な適用を求める法原則に対するフィデル・カストロの明確な理解と主張を示している。ここで強調されているのは、「罪刑法定主義(nullum crimen, nulla poena sine lege)」と呼ばれる刑法の根本原理であり、あらかじめ法律に明記されていない行為を、恣意的に犯罪と見なしてはならないという理念である。
カストロがこの原則を語る背景には、政治的迫害や恣意的な司法手続きに対する警戒と批判があると考えられる。とりわけ、彼自身やキューバの諜報員「キューバの5人」がアメリカで裁かれたようなケースでは、政治的意図を帯びた起訴の正当性を法技術的観点から問い直す意図が込められている。この原則に則れば、曖昧な法解釈や後付けの論理による処罰は正当化できない。
現代の国際社会においてもこの言葉は、法治主義の根幹をなす「予測可能性」「適正手続」「恣意性の排除」といった原則を再確認する重要な警句となる。カストロのこの発言は、たとえ政治的に敵対する立場であっても、法の適用には一貫性と厳格性が必要であるという普遍的な法の倫理を主張するものである。
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