「我々は常に、両国関係に関するすべての問題について、アメリカ政府と交渉する用意がある。ただし、それは各国の主権を最大限に尊重するという厳格な原則に基づくものでなければならない。我々は決して、アメリカ政府にその経済的・政治的体制を変えるよう求めることはしない」

- 1926年8月13日~2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“We have always been prepared to negotiate with the U.S. government everything that has to do with bilateral relations, on a basis of the strictest mutual respect for the sovereign rights of each country. We will never try to ask the government of the United States to change its economic and political system.”
日本語訳
「我々は常に、両国関係に関するすべての問題について、アメリカ政府と交渉する用意がある。ただし、それは各国の主権を最大限に尊重するという厳格な原則に基づくものでなければならない。我々は決して、アメリカ政府にその経済的・政治的体制を変えるよう求めることはしない」
解説
この言葉は、キューバの対米外交における原則と柔軟性の両面を示した発言である。フィデル・カストロは一貫してアメリカの帝国主義的行動に対して批判的な立場を取ってきたが、交渉と対話の可能性を否定していたわけではない。むしろ彼は、主権と対等性が保障される限りにおいて、建設的な関係構築は可能であるという姿勢を示している。
特に重要なのは、カストロが「我々はアメリカに体制の変更を求めない」と明言している点である。これは、他国の内政に干渉しないという国際法上の原則に忠実であると同時に、自国の体制にも干渉させないという対等性の主張でもある。この対等な立場を前提とした交渉の姿勢は、冷戦下や経済封鎖の中にあってもキューバが繰り返し打ち出してきた外交的スタンスである。
現代の国際関係においても、異なる体制間での対話や協力を成立させるためには、相互主権の尊重という基本原則が不可欠である。カストロのこの発言は、理念的対立を越えて対話の可能性を模索する姿勢と、主権国家としての揺るぎない立場の両立を示すものであり、外交における現実主義と原則主義の調和の重要性を示唆している。
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