「アメリカ合衆国は、その政治的・経済的・技術的・軍事的な力をもって、グローバル化した世界を圧政し、略奪している」
- 1926年8月13日～2016年11月25日
- キューバ出身
- 革命家、政治家、弁護士
英文
“The United States tyrannizes and pillages the globalized world with its political, economic, technological, and military might.”
日本語訳
「アメリカ合衆国は、その政治的・経済的・技術的・軍事的な力をもって、グローバル化した世界を圧政し、略奪している」
解説
この言葉は、アメリカ帝国主義に対するフィデル・カストロの根源的な批判を端的に表している。カストロは長年、アメリカを一国による支配的構造の象徴と見なし、その力がグローバル経済と国際政治において不平等を助長していると主張してきた。ここで挙げられる「政治」「経済」「技術」「軍事」は、現代における支配の四本柱として位置づけられており、それらが相互に作用しながら世界を従属させているという批判構造が読み取れる。
特に「グローバル化」という言葉を用いることで、単なる二国間の関係にとどまらず、国境を超えた資本主義的支配と収奪のネットワークに焦点が当てられている。発展途上国や南半球の国々が、アメリカ中心の秩序によって搾取される構造に置かれているという視点は、冷戦以降もカストロの一貫した主張であった。この批判は、単なる反米感情ではなく、国際的な公正さと主権尊重を訴える立場に基づいている。
今日においてもこの言葉は、多国籍企業の経済支配、先進国による技術格差の固定化、軍事的介入と政権転覆工作などの現象と照らし合わせて、現実的な問題意識として響く。カストロのこの発言は、力の集中とその乱用が生み出す不正義に対し、声を上げることの正当性を主張するものである。
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