「ドレの挿絵入りの聖書は、私の多くの時間を奪いました――そして、おそらく私に多くの悪夢を与えたのだと思います」

- 1884年10月11日~1962年11月7日
- アメリカ合衆国出身
- 大統領夫人(ファーストレディ)、人権活動家、外交官、作家
英文
“The Bible illustrated by Dore occupied many of my hours – and I think probably gave me many nightmares.”
日本語訳
「ドレの挿絵入りの聖書は、私の多くの時間を奪いました――そして、おそらく私に多くの悪夢を与えたのだと思います」
解説
この名言は、幼少期や若い頃の読書体験が、感受性に強烈な印象を与えたことを、ユーモアを交えて語っている。ギュスターヴ・ドレ(Gustave Doré)は、聖書や『神曲』『失楽園』などの壮大で時に恐ろしい主題を劇的に描いた挿絵画家として知られており、彼のイラストは神話的で荘厳かつ不気味な世界を視覚的に立ち上げる。この名言には、子ども時代に目にしたその迫力あるビジュアルが無意識下で恐怖や不安として残っていたという、記憶と感性の交錯が込められている。
エレノア・ルーズベルトは、厳格な家庭教育と宗教的背景のもとで育った人物であり、読書はその知的形成において重要な位置を占めていた。しかし、ここではそれが単なる学びの源ではなく、精神的に深い影響――時には恐怖や悪夢――をもたらす存在でもあったことを率直に語っている。この言葉には、知識や信仰といった価値あるものが、時に個人の内面に強烈な葛藤や感情を残すという、繊細な視点が現れている。
現代においても、視覚的な情報が与える心理的影響は大きく、特に子どもや若者にとっては、芸術や文学に触れることが深く記憶に残る体験となる。この名言は、「文化的教養」や「聖なるもの」もまた、時に人間の感性と深く衝突する可能性があることを思い出させてくれる。美と恐怖の境界を行き来するドレの世界を通じて、感性の豊かさと脆さの両方を語る言葉でもある。
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