「もしロシア人たちが読み書きを知っていたら、私は見限られていたでしょう」

- 1729年5月2日~1796年11月17日
- ロシア帝国出身(生まれはプロイセン王国)
- 女帝、啓蒙君主、政治改革者
英文
”If Russians knew how to read, they would write me off.”
日本語訳
「もしロシア人たちが読み書きを知っていたら、私は見限られていたでしょう」
解説
この言葉は、民衆の無知が権力者の支配を支えているという、きわめて鋭く皮肉な自己認識を表している。ここでの「write me off(私を見限る)」という表現は、知識を持った国民であれば、自分の統治の正当性を疑うだろうという前提に立っている。つまり、教育の欠如が体制の維持に寄与しているという構造的問題を突いている。
エカチェリーナ2世は、啓蒙君主として教育の普及に努めながらも、民衆の政治的覚醒には慎重であった。彼女は貴族や知識階層には学問を奨励したが、農奴制の維持や言論の統制など、民衆への過度な自由の拡大には抑制的であった。この言葉が真に彼女のものであれば、啓蒙思想を掲げながらも、その限界と危うさを冷静に認識していた姿を示していると解釈できる。
現代においても、この言葉は情報リテラシーと民主主義の関係性を深く問いかけている。教育と情報へのアクセスこそが権力の監視に不可欠であるという考え方は、報道の自由や教育格差の是正といった現代的課題と密接につながる。したがってこの名言は、支配される側が「知ること」によって初めて支配構造を変え得るという、根本的な政治の真理を突いている。
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