「私は専制君主になります。それが私の仕事です。善き神は私を赦すでしょう。それが神の仕事です」

- 1729年5月2日~1796年11月17日
- ロシア帝国出身(生まれはプロイセン王国)
- 女帝、啓蒙君主、政治改革者
英文
”I shall be an autocrat: that’s my trade. And the good Lord will forgive me: that’s his.”
日本語訳
「私は専制君主になります。それが私の仕事です。善き神は私を赦すでしょう。それが神の仕事です」
解説
この言葉は、自らの政治的立場とその正当化を大胆に表現している。語られているのは、絶対君主制を職業として引き受ける覚悟と、それに伴う道徳的な矛盾や罪の意識を神に委ねる態度である。「専制君主」という語があえて使われている点に、自己認識と冷徹なリアリズムが見て取れる。
この名言は、18世紀ロシア帝国において啓蒙専制君主として知られる女帝の姿勢をよく表している。エカチェリーナ2世はフランス啓蒙思想に通じつつも、国内では貴族や軍の支持を得て権力を集中させた。その統治の中でしばしば自由や改革の理念と、現実的な権力行使との矛盾が生じたが、この言葉はそのジレンマを自覚しつつ、それを神の領域に転嫁することで乗り越えようとした姿勢を示している。
現代においても、権力を持つ者が道徳や倫理との葛藤に直面したときにどう対処するかという問題は普遍的である。この言葉は、責任を一身に引き受ける覚悟と、どこかで神や歴史に判断を委ねる人間の限界意識を示している。政治家や指導者の倫理観と権力行使の関係について考えるうえで、示唆に富んだ一言である。
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