「アメリカ合衆国の大きな強みの一つは…我々には非常に多くのキリスト教徒がいるが、自らをキリスト教国家、ユダヤ教国家、あるいはイスラム教国家とは考えていないということだ。我々は、理想と一連の価値観によって結ばれた市民の国家だと考えている」

1961年8月4日~
アメリカ合衆国出身
政治家、弁護士、作家
バラク・オバマは、アメリカ合衆国第44代大統領として、2009年から2017年まで務めた人物である。
最大の功績は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを成立させたことであり、数千万人の無保険者に保険加入の道を開いた。また、パリ協定への参加を主導し、気候変動対策にも取り組んだ。外交面ではキューバとの国交正常化を実現し、イラン核合意にも署名した。
しかし、政策推進にあたり議会との対立が激化し、分断を深めたとの批判もある。人種問題や中東政策への対応も賛否が分かれている。彼の理想主義的な演説と実務とのギャップを指摘する声も存在する。
英文
“One of the great strengths of the United States is… we have a very large Christian population — we do not consider ourselves a Christian nation or a Jewish nation or a Muslim nation. We consider ourselves a nation of citizens who are bound by ideals and a set of values.”
日本語訳
「アメリカ合衆国の大きな強みの一つは…我々には非常に多くのキリスト教徒がいるが、自らをキリスト教国家、ユダヤ教国家、あるいはイスラム教国家とは考えていないということだ。我々は、理想と一連の価値観によって結ばれた市民の国家だと考えている」
解説
この発言は、バラク・オバマがアメリカの宗教的多様性と世俗的国家理念について語ったものである。彼は、アメリカには多数のキリスト教徒が存在する事実を認めつつも、国家としては特定の宗教に基づくものではないと明確に述べ、共通の理想と価値観によって国民が結ばれていることを強調している。特に「bound by ideals and a set of values(理想と一連の価値観によって結ばれている)」という表現は、宗教を超えた市民的結束の理念を端的に示している。
背景には、アメリカ合衆国建国の原則である政教分離と宗教の自由がある。オバマは、信仰の自由を尊重しながらも、国民全体を特定の宗教アイデンティティに基づかせるべきではないという建国理念を擁護し、多様性を包摂する民主主義国家のあり方を再確認した。この発言は、包括的で開かれたナショナル・アイデンティティを訴えるものである。
現代においてもこのメッセージは極めて重要である。たとえば、宗教対立や排他主義が社会不安を引き起こす中で、オバマのこの発言は、異なる信仰や背景を持つ人々が共通の価値を基盤に共存することの重要性を力強く示しており、多様性を力とする民主社会の普遍的な理念を鮮やかに体現している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?