「西も東もわからぬ子どもに、『どっちへ行ってもいいよ』と言えば、迷い児がふえるだけのことである」

- 1925年1月14日~1970年11月25日
- 日本出身
- 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
原文
「西も東もわからぬ子どもに、『どっちへ行ってもいいよ』と言えば、迷い児がふえるだけのことである」
解説
この言葉は、三島由紀夫が自由と指導の関係について鋭く批評したものである。未熟な者に対して無制限の自由を与えれば、かえって迷いと混乱を助長するだけであり、真の成長や自己確立にはつながらないという認識が示されている。ここでは、自由とは単に選択肢を与えることではなく、それを支えるべき基盤や方向性が不可欠であるという厳しい真理が語られている。
三島は、真の自由は自律と知識によって初めて成立すると考えていた。何の指針も持たない者に「自由にせよ」と命じても、それは自由ではなく、放任という無責任な態度に過ぎないのである。この言葉は、三島が持っていた人間形成に対する厳格な態度と、無条件な自由に対する警戒心を象徴している。
現代においても、この警句は強い示唆を持つ。たとえば、教育や社会制度において、自律の基盤を持たない人々に無制限の自由だけを与えることが、混乱や無力感を招いてしまうことは現実に起こっている。自由を支えるためには、まず方向感覚と判断力を育むべきであり、真の自由とは選択の責任を引き受ける覚悟に支えられているのだ。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
申し込む
0 Comments
最も古い