「同志は、言葉によってではなく、深く、ひそやかに、目を見交わすことによって得られるのにちがいない」

• 1925年1月14日～1970年11月25日
• 日本出身
• 小説家、劇作家、評論家、政治活動家

原文

「同志は、言葉によってではなく、深く、ひそやかに、目を見交わすことによって得られるのにちがいない」

解説

この言葉は、三島由紀夫が真の絆と理解の在り方について静かに語ったものである。同志とは、共通の信念や目的を持つ者同士の絆であり、それは言葉で説明し合うことによってではなく、深い沈黙のうちに、目と目で通じ合うことで初めて成立するという認識が示されている。ここでは、真の共感と信頼は論理や言葉を超えた直感的な次元にあることが語られている。

三島は、言葉というものがしばしば誤解や欺瞞を生みやすい不完全な道具であることを見抜いていた。それに対して、視線や沈黙にこそ、確かな信頼と共鳴が宿ると考えていたのである。同志とは、意図的な言語ではなく、生そのものを通して、無言のうちに認め合う存在であるべきだという高い理想がここに込められている。この言葉は、三島が持っていた美学的な沈黙への信頼と、真実への厳粛な態度を象徴している。

現代においても、この洞察は変わらぬ力を持つ。たとえば、同じ理念に生きる者同士が、多くを語らずとも互いを深く理解し、連帯できる瞬間は、三島の言う「目を見交わすことによる同志の成立」をまさに体現している。真の同志とは、言葉を超えた理解と覚悟を共有する者である。

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