「精神と肉体とは決して問答できないのだ。精神は問うことができるだけだ」

• 1925年1月14日～1970年11月25日
• 日本出身
• 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
• 『仮面の告白』『金閣寺』などで戦後日本文学を代表する存在となり、国内外で高い評価を得た。美と死を主題に独自の美学を追求し、最期は自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げた。文学と行動を一致させた生き様で今なお強い影響を与えている。

原文

「精神と肉体とは決して問答できないのだ。精神は問うことができるだけだ」

解説

この言葉は、三島由紀夫が精神と肉体の本質的な断絶を鋭く描き出したものである。精神は常に肉体に問いかけ、意味や目的を求めるが、肉体はそれに答える術を持たず、ただ存在し、ただ生きるのみであるという認識が示されている。ここでは、精神が欲する理性や意図に対して、肉体は沈黙を守り続けるという、不可解で不可分な関係が語られている。

三島は、精神と肉体を並び立てながらも、決して完全な対話が成立しないことを直視していた。精神は肉体に問い続けるが、肉体は言葉を持たず、ただその存在によって応じるしかない。この断絶こそが、人間の生における悲劇であり、また芸術や行動の動機となる根源的な緊張であると考えていた。この言葉は、三島が持っていた肉体と精神に対する深い二重性の意識を象徴している。

現代においても、この洞察は鋭い意義を持つ。たとえば、思考によって肉体を制御しようとする試みが限界に直面するたびに、精神と肉体の断絶という問題は露わになる。精神とは肉体に絶えず問いかける存在であり、肉体はそれに答えず、ただ生きることで存在を示す。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか？

おすすめの関連記事

三島由紀夫

「詩もなく、至福もなしに！これがもっとも大切だ。生きることの秘訣はそこにしかない」

三島由紀夫

「小説家が苦悩の代表者のような顔をするのは変だ」

三島由紀夫

「人生という邪教、それは飛切りの邪教だわ」

三島由紀夫

「高飛車な物言いをするとき、女はいちばん誇りを失くしているんです」

三島由紀夫

「ちょうど年寄りの盆栽趣味のように、美というものは洗練されるについて、一種の畸型を求めるようになる」

ランダムな名言へ

ジャンプ！