「小説は書いたところで完結して、それきり自分の手を離れてしまうが、芝居は書き了えたところからはじまる」

三島由紀夫の名言(画像はイメージです)
三島由紀夫の名言(画像はイメージです)
  • 1925年1月14日~1970年11月25日
  • 日本出身
  • 小説家、劇作家、評論家、政治活動家
  • 『仮面の告白』『金閣寺』などで戦後日本文学を代表する存在となり、国内外で高い評価を得た。美と死を主題に独自の美学を追求し、最期は自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げた。文学と行動を一致させた生き様で今なお強い影響を与えている。

原文

「小説は書いたところで完結して、それきり自分の手を離れてしまうが、芝居は書き了えたところからはじまる」

解説

この言葉は、三島由紀夫が小説と演劇の本質的な違いを鮮やかに描き出したものである。小説は書き上げた時点で作品として完結し、あとは読者に委ねられるが、芝居は台本が完成してから、役者や演出家、観客との共同作業によって初めて命を得るという認識が示されている。ここでは、文字だけで完結する文学と、舞台上で初めて完成する演劇の対照性が語られている。

三島は、純粋な文字表現で自己完結する小説に対して、他者の解釈や身体表現を必要とする芝居に、より開かれた生命力と危うさを見出していた。小説は孤独な完成を目指すのに対し、芝居は他者との連携によって絶えず変化し、生き続ける芸術である。この言葉は、三島が持っていた表現に対する冷静な客観視と、演劇に対する生の熱情を象徴している。

現代においても、この洞察は鮮やかである。たとえば、デジタル時代においても、テキストだけで完結する作品と、他者とのコラボレーションを経て初めて成立する表現の違いは重要なテーマであり続けている。表現には孤独に完結するものと、共に生きることで完成するものがあり、その本質を正しく見極めよ

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