「古人も功績を立てて名声を得た後は身を引いたと聞き及んでいるので、私もこの教えを受けて、遠い国へ退く決心を固めた」

- 1530年2月18日~1578年4月19日
- 日本(戦国時代・越後国)出身
- 武将、大名、軍略家
- 「越後の龍」と称される名将であり、義を重んじる戦いぶりで知られる。川中島の戦いで武田信玄と激闘を繰り広げ、戦国時代屈指の戦術家として名を馳せた。
原文
「古人も功成り名遂げ身退くと承り及び候の間、拙身も、此語を受け、遠国え罷越すべき心中、義定に候」
現代語訳
「古人も功績を立てて名声を得た後は身を引いたと聞き及んでいるので、私もこの教えを受けて、遠い国へ退く決心を固めた」
解説
この言葉は、上杉謙信が引退を考えていた際の心情を表したものである。謙信は、過去の偉人たちが功績を成した後に潔く身を引いた例に倣い、自らも戦の場を退くべき時だと悟ったことを述べている。ここには、ただ勝利を追い求めるのではなく、名を汚さぬ引き際の美学を重んじる謙信の精神が色濃く現れている。
16世紀の日本は、力による支配が正義とされた戦国時代であり、多くの武将が天下統一を夢見て戦い続けた。そんな中で謙信は、「義」を信条に掲げ、無闇な野心に走ることなく、己の引き際をも意識していた数少ない存在である。この姿勢は、謙信が単なる戦上手にとどまらず、人格者としても高く評価された理由の一つである。
現代においてもこの言葉は、成功した後に執着せず、次の世代に道を譲る潔さの大切さを教えている。例えば、企業の経営者が後進に会社を託して身を引くとき、あるいはスポーツ選手が最盛期に引退を決断する時など、この精神は変わらず尊ばれる。自らの引き際を見極めることこそが、真の成功であるという教訓が読み取れる。
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