「ただ一人の力で天下を動かすことができるのは、これまた天の定めによるものである」

• 1836年1月3日～1867年12月10日
• 日本（江戸時代・土佐藩）出身
• 志士、政治活動家、実業家
• 幕末の動乱期において薩長同盟の成立に尽力し、明治維新の礎を築いた立役者の一人。海援隊を組織し、近代的な貿易と海運を推進するなど、日本の近代化に大きな影響を与えた。

原文

「一人の力で天下うごかすべきは、是又天よりする事なり」

現代語訳

「ただ一人の力で天下を動かすことができるのは、これまた天の定めによるものである」

解説

この言葉は、偉大な変革を成し遂げる人物の存在は、単なる努力だけでなく天命によるものであるとする考えを示している。坂本龍馬が活躍した幕末は、徳川幕府という長きにわたる体制が崩壊へ向かう激動の時代であった。龍馬は、自らも行動をもって世を動かそうとしたが、一人の力で歴史を動かす者は、天に選ばれた特別な存在であるという厳粛な認識を抱いていたのである。

現代でも、大きな社会変革や歴史的偉業を成し遂げる人物は、個人の努力だけでなく時代背景や偶然の巡り合わせに支えられていることが多い。たとえば、ネルソン・マンデラやマーティン・ルーサー・キング・ジュニアのような指導者たちも、個人の資質に加え、時代の要請という「天命」によって歴史に名を刻んだ。この龍馬の言葉は、個人の意志と時代の流れの両方を理解する重要性を教えている。

この名言は、人間の努力と天命との関係について深い洞察を与えるものである。坂本龍馬自身も、自らの役割を単なる個人の野心ではなく、時代に選ばれた者の責務と自覚して行動していた。その覚悟と謙虚さが、この一文には込められているのである。

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