「言葉の最も重要な美徳は明晰さであり、それを最も損なうのは馴染みのない語の使用である」

- 紀元前460年頃~紀元前370年頃
- 古代ギリシャ出身
- 医師、医学教師、哲学者
- 「医学の父」と称され、病気を自然現象として理解しようとした最初期の人物の一人。ヒポクラテスの誓いは医療倫理の基盤として今日まで受け継がれている。観察と記録に基づく診断を重視し、近代医学の礎を築いた。
英文
“The chief virtue that language can have is clearness, and nothing detracts from it so much as the use of unfamiliar words.”
日本語訳
「言葉の最も重要な美徳は明晰さであり、それを最も損なうのは馴染みのない語の使用である」
解説
この言葉は、言語表現において最も重要なのは「明確さ」であるという原則を述べている。ヒポクラテスは、医師が患者や同僚と正確に意思疎通を行うためには、難解な言葉や専門用語に頼るのではなく、わかりやすい表現を用いるべきだと考えた。これは、言葉の目的が知識の伝達である以上、その効果を高めるためには平易さが何よりも優先されるべきだという実用主義的な言語観を反映している。
古代ギリシャの医学においても、病名や治療法が定まっていなかった時代、医師の観察と記録の正確さが治療の質を大きく左右した。そのためヒポクラテスは、医学的な説明であっても相手が理解できる言葉で話すことが、治療の一部であると認識していた。この言葉は、明晰な言語が人間関係を築き、誤解や害を避けるための基盤であるという理念を端的に示している。
現代社会でも、専門分野の知識を共有する際に、わかりやすい説明ができるかどうかは教育・医療・政治・テクノロジーの場で極めて重要な要素である。難解な専門用語で飾り立てるのではなく、聞き手の理解を第一に考えることが、真の知識人や実務者の証である。この名言は、表現とは自己顕示ではなく他者への奉仕であるべきだという普遍的な倫理を、言語の力によって私たちに伝えている。
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