「他人が歴史を書いている間に、手をこまねいているのは屈辱的だ。誰が勝つかは大した問題ではない。国民を偉大にするには、たとえ尻を蹴ってでも戦場に送り出さなければならない。私はそうするつもりだ」

- 1883年7月29日~1945年4月28日
- イタリア王国出身
- 政治家、新聞編集者、独裁者
- イタリア統一後初のファシスト政権を築き、ファシズムの創始者として知られる。1922年に首相に就任し、全体主義的体制を確立。第二次世界大戦では枢軸国側として参戦するが、戦争末期に失脚し、処刑された。20世紀の独裁政治を象徴する存在である。
英文
“It is humiliating to remain with our hands folded while others write history. It matters little who wins. To make a people great it is necessary to send them to battle even if you have to kick them in the pants. That is what I shall do.”
日本語訳
「他人が歴史を書いている間に、手をこまねいているのは屈辱的だ。誰が勝つかは大した問題ではない。国民を偉大にするには、たとえ尻を蹴ってでも戦場に送り出さなければならない。私はそうするつもりだ」
解説
この言葉は、ムッソリーニの歴史観と行動主義的国家観を強烈に表現したものである。彼にとって、歴史とは傍観するものではなく、武力と意志によって能動的に「書き換える」ものであり、戦争は勝敗にかかわらず国家の精神を高める行為とされていた。ここでは、国家の名誉や偉大さが、犠牲や勝利の有無ではなく、行動の有無によって決まるという信念が示されている。
この発言が示すのは、ムッソリーニがどれほど国民を戦争に動員することにためらいがなかったかである。彼にとって戦争とは、外交的選択肢ではなく、国民の団結と鍛錬を促す「道徳的手段」であった。そのため、たとえ外的な戦略的合理性に欠けていても、国民に戦わせること自体が目的化されていた。
現代の観点から見れば、この名言は人命軽視と戦争美化の危険性を象徴する極端な国家主義的発言である。国家の偉大さを武力によって実現しようとする姿勢は、過去の戦争の惨禍を教訓とする今日の国際社会において、最も警戒される思想のひとつである。この言葉は、リーダーが持つ歴史観と人命観が、いかにして国家を戦争へと導くかを鋭く示す例証となっている。
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