「ファシズムは、人類の未来と発展を観察し、当面の政治的配慮とは別に考察するほど、永続的な平和の可能性も有用性も信じない」

- 1883年7月29日~1945年4月28日
- イタリア王国出身
- 政治家、新聞編集者、独裁者
- イタリア統一後初のファシスト政権を築き、ファシズムの創始者として知られる。1922年に首相に就任し、全体主義的体制を確立。第二次世界大戦では枢軸国側として参戦するが、戦争末期に失脚し、処刑された。20世紀の独裁政治を象徴する存在である。
英文
“Fascism, the more it considers and observes the future and the development of humanity, quite apart from political considerations of the moment, believes neither in the possibility nor the utility of perpetual peace.”
日本語訳
「ファシズムは、人類の未来と発展を観察し、当面の政治的配慮とは別に考察するほど、永続的な平和の可能性も有用性も信じない」
解説
この言葉は、ファシズムが平和そのものを理想とせず、むしろ闘争を歴史の必然とみなしている思想的立場を端的に表現している。ムッソリーニはファシズムを「行動の哲学」として捉えており、国家や文明の発展は戦争や競争と切り離せないと考えていた。このため、「永続的な平和」は幻想であり、非現実的で有害ですらあるという認識が示されている。
当時のイタリアは、第一次世界大戦後の国際協調主義に懐疑的であり、ムッソリーニは国際連盟などの平和機構に批判的であった。彼にとって、国家の生命力は武力や意志によって示されるべきであり、平和はしばしば弱者の言い訳に過ぎなかった。この名言は、力による秩序と威信を重視するファシズムの核心思想を象徴するものである。
現代において、この思想は民主主義や国際法の理念と真っ向から対立する。しかし歴史的には、軍事的プレゼンスや緊張状態を維持することで安全保障を図るという現実主義的外交の一部に通じる考え方とも言える。ゆえにこの発言は、平和の理想と現実主義の緊張関係を浮き彫りにするものとして、今なお議論の対象である。
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