「理性ある存在であるとは、なんと都合のよいことか。なにしろ、やりたいことすべてに理由を見つけることも、作り出すこともできるのだから」

ベンジャミン・フランクリンの名言
ベンジャミン・フランクリンの名言
  • 1706年1月17日~1790年4月17日
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、発明家、科学者、著述家
  • アメリカ独立戦争で重要な役割を果たし、アメリカ合衆国の建国の父の一人として知られる。電気に関する研究で著名な発明家であり、定常波や避雷針の発明者。外交官としても活躍し、フランスとの友好条約締結に尽力した。

英文

“So convenient a thing it is to be a reasonable creature, since it enables one to find or make a reason for every thing one has a mind to do.”

日本語訳

「理性ある存在であるとは、なんと都合のよいことか。なにしろ、やりたいことすべてに理由を見つけることも、作り出すこともできるのだから」

解説

この名言は、人間の「理性」がしばしば真の判断や正義のためではなく、自分の欲望や行動を正当化するために使われているという皮肉を込めた風刺的な言葉である。ベンジャミン・フランクリンは理性を重視する啓蒙思想家でありながら、理性がしばしば自己弁護の道具として機能してしまう人間の弱さにも深く自覚的であった。この言葉は、「合理的であること」が正しい行動を意味するとは限らず、むしろ人間は理性を用いて自らの欲求を正当化しがちであるという、鋭い人間観察を含んでいる。

現代でも、個人の欲望や利益を追求する際に、「理屈」や「もっともらしい理由」を後づけすることで、内面的な矛盾を隠そうとする傾向は多く見られる。この名言は、理性が高貴な能力であると同時に、自己欺瞞の道具にもなりうることを警告している。特に知識や地位を持つ者ほど、自らの行為に正当な理由を与える技術に長けており、それがしばしば倫理的判断を鈍らせる。

この言葉にはまた、真の理性とは「理由を作ること」ではなく、「理由を問い直すこと」であるという哲学的問いかけが込められている。フランクリンは、理性を使う者こそ、自分の欲望や判断の動機を慎重に見極めるべきだと信じていた。「理性は武器にもなるが、鏡にもなる」――この名言は、人間の賢さと愚かさが紙一重であることを見抜き、真に賢明であるためには自分の理性に対しても批判的であるべきだと教えてくれる、鋭利な倫理的警句である。

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