「自由な政府が存在し、人民が代表を通じて自らの法律を定めているのであれば、自分たちの紙幣を互いに受け取るよう義務づけることに、私は不正を見いださない」

ベンジャミン・フランクリンの名言
ベンジャミン・フランクリンの名言
  • 1706年1月17日~1790年4月17日
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、発明家、科学者、著述家
  • アメリカ独立戦争で重要な役割を果たし、アメリカ合衆国の建国の父の一人として知られる。電気に関する研究で著名な発明家であり、定常波や避雷針の発明者。外交官としても活躍し、フランスとの友好条約締結に尽力した。

英文

“Where there is a free government, and the people make their own laws by their representatives, I see no injustice in their obliging one another to take their own paper money.”

日本語訳

「自由な政府が存在し、人民が代表を通じて自らの法律を定めているのであれば、自分たちの紙幣を互いに受け取るよう義務づけることに、私は不正を見いださない」

解説

この名言は、民主的な立法過程において決められた通貨制度が正当性を持つという、政治的自由と経済的義務の結びつきを肯定する立場を表明している。ベンジャミン・フランクリンは、紙幣(当時はコインより信用性に疑念を抱かれていた)を含む金融制度の整備に深く関わり、人民の意思によって制定された制度であれば、それに従うことは正当かつ公平であると主張している。この言葉は、民主主義の原理が制度の正統性を支えるという近代国家の基本理念を先駆的に示している。

現代社会においても、政府が発行する法定通貨(紙幣)を強制的に受け取る義務は、通貨の信用と経済秩序の維持にとって不可欠な仕組みである。この名言は、そのような通貨制度が権力の押しつけではなく、人民自身の合意と代表による決定である限り、強制ではなく自己規律であると説いている。これは、「自由とは好き勝手に振る舞うことではなく、合意のルールに従うこと」という、成熟した自由理解を示している。

この言葉にはまた、市民の自己統治と、その帰結としての義務の正当性を認める啓蒙的な思想が込められている。フランクリンは、自由と責任は表裏一体であり、自らの代表を通じて定めた法律には従うべきだという市民的倫理を重視した「自由政府の下では、通貨制度もまた人民の意思に基づくものとなり、それに従うことは正義である」――この名言は、貨幣と民主主義、自由と義務の深い関係を明晰に語る政治哲学の一節である。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る