「危険は祈りの調味料である」

- 1706年1月17日~1790年4月17日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、発明家、科学者、著述家
- アメリカ独立戦争で重要な役割を果たし、アメリカ合衆国の建国の父の一人として知られる。電気に関する研究で著名な発明家であり、定常波や避雷針の発明者。外交官としても活躍し、フランスとの友好条約締結に尽力した。
英文
“Danger is sauce for prayers.”
日本語訳
「危険は祈りの調味料である」
解説
この名言は、人が本気で祈るのは、平穏なときではなく、危機に直面したときであるという皮肉を込めた観察である。ベンジャミン・フランクリンは、宗教の形式よりも実践的な徳を重んじた啓蒙思想家であり、祈りという行為が本質的に危機感や恐怖と結びつくことを冷静に見抜いていた。この言葉は、祈りが真に迫るのは、命の危険や困難に直面したときであり、そのときこそ人は切実に神にすがるようになるという人間心理を風刺的に表現している。
現代でも、「平時の信仰は薄れ、危機のときにだけ神を思い出す」という傾向は多くの人に共通する。自然災害、病気、戦争、不安定な社会状況の中で、人は無力を感じ、何かにすがろうとする傾向を強める。この名言は、危機に追い込まれて初めて生じる信仰や祈りの熱を、「ソース(sauce)」という言葉で軽妙に言い表しており、祈りの真実性と人間の現実的動機の関係に警鐘を鳴らしている。
この言葉にはまた、人間の祈りや信仰が、感謝よりも恐れに根ざすことが多いという冷静な視点が込められている。フランクリンは、信仰を否定するわけではないが、形式的で自己中心的な信仰への批判と、倫理的な行動こそが人間にとって真の徳であるという考えを持っていた。「祈りを深くするのは、信仰ではなく恐怖である」――この名言は、人間の心の動きと信仰の本質を鋭く突いた、皮肉でありながら真実を含む教訓である。
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