「フランス人を団結させることができるのは、危機だけだ。265種類ものチーズがある国に、唐突に統一を押しつけることなどできはしない」

- 1890年11月22日~1970年11月9日
- フランス出身
- 軍人、政治家、第18代フランス大統領
- 第二次世界大戦中に自由フランスを主導し、戦後はフランス第五共和政を樹立。大統領として強力な指導力を発揮し、植民地政策の転換や独自の外交路線を推進した。近代フランスの象徴的指導者として知られている。
英文
“Only peril can bring the French together. One can’t impose unity out of the blue on a country that has 265 different kinds of cheese.”
日本語訳
「フランス人を団結させることができるのは、危機だけだ。265種類ものチーズがある国に、唐突に統一を押しつけることなどできはしない」
解説
この名言は、フランスという国の本質的な多様性と、国民の個人主義的気質を、ユーモアと鋭い観察眼で表現したものである。265種類のチーズという象徴的な表現は、地域、文化、意見、思想の多様さを意味しており、それだけフランス人が多様であり、自律的であることを示している。シャルル・ド・ゴールは、こうした国民をまとめる困難さを熟知していたが、それでもなお統一の必要性を強く信じていた。
この言葉には、平時のフランス人はそれぞれの信念や地域性を大切にし、強く自己主張するが、危機の時には一致団結するという特性への理解と皮肉が込められている。第二次世界大戦中、敗戦と占領を経験したフランスにおいて、自由フランスを掲げたド・ゴールの訴えが国民を奮い立たせ、抵抗と再建の力となったのはまさにこの「危機による統一」の現れである。
現代においてもこの名言は、多様性と統一のバランスを問う普遍的な課題に対する洞察を提供する。国家や組織が多様性を持つことは強さである一方、危機や課題に直面したとき、共通の目的や価値観に立ち返ることでのみ真の団結が可能になる。この名言は、統一とは命令や制度で生まれるのではなく、共有された危機意識と共感によって初めて成立するという、統治における真理をユーモラスに、しかし鋭く示している。
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