「権威は威信なしには機能せず、威信は距離なしには成り立たない」
- 1890年11月22日～1970年11月9日
- フランス出身
- 軍人、政治家、第18代フランス大統領
- 第二次世界大戦中に自由フランスを主導し、戦後はフランス第五共和政を樹立。大統領として強力な指導力を発揮し、植民地政策の転換や独自の外交路線を推進した。近代フランスの象徴的指導者として知られている。
英文
“Authority doesn’t work without prestige, or prestige without distance.”
日本語訳
「権威は威信なしには機能せず、威信は距離なしには成り立たない」
解説
この言葉は、統治者や指導者の権威が成立するためには、単なる命令や力だけでは不十分であり、尊敬と畏敬を伴う「威信」が不可欠であるという政治哲学を語っている。そしてその威信を維持するには、一般大衆との一定の距離――心理的・象徴的な隔たり――が必要であると説いている。ド・ゴールのこの発言は、彼の政治手法、すなわち「親しみ」ではなく「崇敬」によってリーダーシップを築く姿勢と一致している。
シャルル・ド・ゴールは、演説や政治活動において厳格な言葉遣いと儀式的な振る舞いを重んじた。これは、リーダーが民衆とあまりに近くなれば威厳を失い、政治的影響力が損なわれるという考えに基づいている。彼は「共和国の象徴」として振る舞うことを選び、権威を演出することで統一と秩序を維持しようとした。この言葉は、個人のカリスマと制度的な統治を両立させるための心得として重みを持つ。
現代において、SNSやメディアの発展により、政治家と大衆の距離は縮まり続けているが、それは同時にリーダーの権威と信頼性を失わせるリスクも孕んでいる。この名言は、親しさだけではリーダーシップは成立しないという古典的な真理を思い起こさせるものであり、権威を支えるための距離と象徴性の重要性を再認識させる。
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