「汝は知ることとなるであろう――他人のパンがいかに塩辛く、他人の階段を上り下りすることがいかに骨の折れることかを」

ダンテ・アリギエーリの名言
ダンテ・アリギエーリの名言
  • 1265年頃~1321年9月14日
  • イタリア(フィレンツェ共和国)出身
  • 詩人、哲学者、政治家
  • 叙事詩『神曲』の作者として知られ、中世ヨーロッパ文学の頂点を築いた。トスカーナ語(イタリア語)の発展にも寄与し、「イタリア語の父」とも称される。現世・煉獄・天国を旅する壮大な構想を通じて、宗教・倫理・政治の問題を詩的に表現した。

英文

“You shall find out how salt is the taste of another man’s bread, and how hard is the way up and down another man’s stairs.”

日本語訳

「汝は知ることとなるであろう――他人のパンがいかに塩辛く、他人の階段を上り下りすることがいかに骨の折れることかを」

解説

この言葉は、『神曲』天国篇第17歌において、ダンテの曽祖父カッチャグイーダが、彼の未来の亡命と流浪を予言する場面で語ったものである。ここでは、詩人ダンテが故郷フィレンツェを追放され、他人の庇護を受けて生きる苦しみを味わうことになる運命が、象徴的な表現で予告される。

「他人のパンの塩辛さ」は、自立を失った生活の屈辱や、恩義に縛られる不自由さを、「他人の階段の上り下りの辛さ」は、見知らぬ地での生活の困難や、他者の権威に従わざるを得ない状況を意味する。これは単なる物理的な困難ではなく、精神的屈辱と孤独の象徴であり、ダンテ自身の実体験が深く投影された名言である

現代においても、望まぬ転居や亡命、就労先での上下関係など、他人の支配下で生きざるを得ない現実に共感する人は多い。この名言は、他人に依存するということがもたらす心理的苦痛と、そこから生まれる誇りの喪失、そして忍耐の必要性を鋭く描いている。詩人の誇り高き魂と現実の間に引き裂かれる葛藤が、今日にも響く真実を帯びて語られている

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