「芸術は、その力の及ぶかぎり自然に従う。弟子が師を模倣するように。ゆえに汝らの芸術は、いわば神の孫たるべきものなのだ」

ダンテ・アリギエーリの名言
ダンテ・アリギエーリの名言
  • 1265年頃~1321年9月14日
  • イタリア(フィレンツェ共和国)出身
  • 詩人、哲学者、政治家
  • 叙事詩『神曲』の作者として知られ、中世ヨーロッパ文学の頂点を築いた。トスカーナ語(イタリア語)の発展にも寄与し、「イタリア語の父」とも称される。現世・煉獄・天国を旅する壮大な構想を通じて、宗教・倫理・政治の問題を詩的に表現した。

英文

“Art, as far as it is able, follows nature, as a pupil imitates his master; thus your art must be, as it were, God’s grandchild.”

日本語訳

「芸術は、その力の及ぶかぎり自然に従う。弟子が師を模倣するように。ゆえに汝らの芸術は、いわば神の孫たるべきものなのだ」

解説

この言葉は、『神曲』地獄篇第11歌において語られるものであり、ダンテの自然観と芸術観を明確に示す思想的核心の一節である。ここでダンテは、神が自然を創造し、自然が芸術の原型であることから、芸術は神から二世代を経た「神の孫」であると論じている。つまり、芸術は神の創造の模倣であり、それゆえ神聖な秩序に従うべきものとされる

この考えは、中世スコラ哲学およびアリストテレス的自然観の影響を受けており、芸術が自然の摂理を模倣することで真実に近づくという理論に基づいている。芸術は恣意的な創作ではなく、宇宙の理法に則った行為であるべきだという信念が込められている。ゆえに不自然な、あるいは堕落した目的のために用いられる芸術は、神の秩序に反するものとして罪とされる

現代においては、芸術の自由は重要な価値として認められているが、それでもなお、自然や真理、倫理との関係は問われ続けている。この言葉は、芸術が何を模倣し、何に奉仕すべきかという根源的な問いを投げかける芸術は自己表現にとどまらず、宇宙と倫理における調和の一部であるというダンテの思想は、今日の芸術論にもなお深い示唆を与える。

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