「天はその永遠の栄光を掲げて汝らの上を巡るというのに、汝らの目はなお地を見つめている」

- 1265年頃~1321年9月14日
- イタリア(フィレンツェ共和国)出身
- 詩人、哲学者、政治家
- 叙事詩『神曲』の作者として知られ、中世ヨーロッパ文学の頂点を築いた。トスカーナ語(イタリア語)の発展にも寄与し、「イタリア語の父」とも称される。現世・煉獄・天国を旅する壮大な構想を通じて、宗教・倫理・政治の問題を詩的に表現した。
英文
“Heaven wheels above you, displaying to you her eternal glories, and still your eyes are on the ground.”
日本語訳
「天はその永遠の栄光を掲げて汝らの上を巡るというのに、汝らの目はなお地を見つめている」
解説
この言葉は、『神曲』煉獄篇第14歌に由来するとされ、人間の視野の狭さと精神的な向上心の欠如を鋭く批判する一節である。ダンテは、宇宙の秩序と神の意志が天体の運行を通して絶えず示されているにもかかわらず、人間が物質的・地上的なことにばかり囚われていることを嘆いている。
この名言には、中世的宇宙観と神学が深く反映されている。当時の人々は、天体の動きが神の意志や美の反映と信じていたが、ダンテはそれを単なる自然現象ではなく、人間に向けられた精神的な呼びかけと捉えている。「天は語っている」のに、それに気づかず地に伏していることは、魂の堕落や知的怠慢の象徴である。
現代においても、この言葉は高い理想や真理が目の前にあっても、日々の俗事に囚われて見上げようとしない人間の在り方を鋭く指摘している。物理的・社会的現実にばかり目を向け、精神的・哲学的な価値を見失ってしまう危うさを示す言葉として、時代を超えて共鳴する教訓を含んでいる。「天を見よ」という呼びかけは、今もなお響き続ける道徳的・精神的覚醒の声である。
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