「非難もされず、称賛もされぬまま生きた哀れな魂たち」

ダンテ・アリギエーリの名言
ダンテ・アリギエーリの名言
  • 1265年頃~1321年9月14日
  • イタリア(フィレンツェ共和国)出身
  • 詩人、哲学者、政治家
  • 叙事詩『神曲』の作者として知られ、中世ヨーロッパ文学の頂点を築いた。トスカーナ語(イタリア語)の発展にも寄与し、「イタリア語の父」とも称される。現世・煉獄・天国を旅する壮大な構想を通じて、宗教・倫理・政治の問題を詩的に表現した。

英文

“The sad souls of those who lived without blame and without praise.”

日本語訳

「非難もされず、称賛もされぬまま生きた哀れな魂たち」

解説

この言葉は、『神曲』地獄篇第3歌において、ダンテが地獄の入り口で見た「中立者たち」の魂を描写した一節である。これらの魂は、善にも悪にも与せず、信仰も否定もせず、ただ自己保身のために人生を曖昧に過ごした者たちである。彼らは天国にも地獄にも受け入れられず、名もなき場所で永遠に無意味な存在として彷徨い続ける

ダンテはここで、行動しないことそのものが罪であるという厳しい倫理観を提示している。特にこの「中立者たち」は、政治的・宗教的な混乱の中で沈黙し続けた者たちへの批判とも読める。中庸を装った怠惰や臆病は、道徳的な意志を放棄することと同義であるという彼の思想が、強く表現されている。

現代においても、この言葉は大きな意味を持つ。社会的・道徳的問題に対して沈黙を保つことは、しばしば現状維持や加担と見なされる。この名言は、無関心や傍観がもたらす危機を鋭く指摘するものであり、主体的に生きることの重要性を強く訴えている生を無意味に終わらせるなというダンテの厳しくも誠実な警告がここに込められている。

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