「おのれの出自を思え。汝らは獣のごとく生きるために創られたのではなく、徳と知を追うためにこそ生まれたのだ」

- 1265年頃~1321年9月14日
- イタリア(フィレンツェ共和国)出身
- 詩人、哲学者、政治家
- 叙事詩『神曲』の作者として知られ、中世ヨーロッパ文学の頂点を築いた。トスカーナ語(イタリア語)の発展にも寄与し、「イタリア語の父」とも称される。現世・煉獄・天国を旅する壮大な構想を通じて、宗教・倫理・政治の問題を詩的に表現した。
英文
“Consider your origins: you were not made to live as brutes, but to follow virtue and knowledge.”
日本語訳
「おのれの出自を思え。汝らは獣のごとく生きるために創られたのではなく、徳と知を追うためにこそ生まれたのだ」
解説
この名言は、『神曲』地獄篇第26歌において、ウリッセス(ユリシーズ)が部下たちに語りかける場面に登場する。ここでウリッセスは、神の定めを破って西の果てを目指す冒険に出るよう部下を鼓舞する。「汝らは徳と知を追うべく生まれた」とは、人間の高貴な本性と知的探求への欲求を示す、ダンテの人間観の根幹である。
この言葉には、人間は単なる生存のためではなく、理性と道徳に従って生きるべき存在であるという、ルネサンス的かつキリスト教的な価値観が融合している。「brutes(獣)」は理性を持たぬ存在として、人間とは区別される。つまり、惰性や快楽に流されることは本来の人間性に反するという強い警告が込められている。
現代においてもこの言葉は響く。技術の進歩と快楽主義が蔓延する社会において、人は時に「なぜ生きるのか」「何を目指すのか」を見失う。この名言は、人間の本質とは倫理的で知的な高みを追い求めるものであることを再確認させる。知と徳こそが人間を人間たらしめるという、時代を超えた教訓である。
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