「我々の政府は、重大な国家的緊急事態という叫びをもって、我々を永続的な恐怖の状態に置き、絶え間ない愛国的熱狂の奔流に駆り立ててきた」

- 1880年1月26日~1964年4月5日
- アメリカ合衆国出身
- 軍人、陸軍元帥、統治官
- 太平洋戦争において連合国軍の司令官として活躍し、フィリピン解放や日本占領政策を主導。日本の戦後復興と民主化に大きな影響を与えた。名言「I shall return(私は必ず戻ってくる)」と共に、20世紀の軍事と外交の象徴的存在として知られている。
英文
“Our government has kept us in a perpetual state of fear – kept us in a continuous stampede of patriotic fervor – with the cry of grave national emergency.”
日本語訳
「我々の政府は、重大な国家的緊急事態という叫びをもって、我々を永続的な恐怖の状態に置き、絶え間ない愛国的熱狂の奔流に駆り立ててきた」
解説
この言葉は、政府が国民の感情を操作し、恒常的な恐怖と愛国心によって社会を統制してきたという政治的批判である。ここで指摘されているのは、本当の危機であるか否かにかかわらず「国家的緊急事態」という言葉を用いて、大衆を心理的に煽る権力の手法である。戦争や対外的な脅威を口実に、自由や理性が抑圧される構造を批判している点において、これは非常にラディカルな見解である。
このような手法は、特に20世紀中盤のアメリカにおけるレッドパージやマッカーシズムの時代に顕著に見られた。国家が「敵の存在」を強調することによって、国内の統制を強めたり、異論を封じたりするという構造が成立しやすくなる。マッカーサーがこうした状況に警鐘を鳴らしたとすれば、それは民主主義と自由に対する深い危機意識の表れである。
現代においても、テロ対策、感染症、経済危機などを名目に、国家が緊急事態を口実に市民の自由を制限し、社会的な熱狂を利用する事例は数多く存在する。この名言は、そうした権力の操作に流されず、冷静な批判精神と自由への自覚的な態度を持つことの重要性を訴えている。ゆえにこれは、健全な市民社会を維持するための警句として機能する言葉である。
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