「防衛の難しさとは、外から守ろうとしているものを、どこまで内側から壊さずに済ませられるかという点にある」

- アメリカ合衆国出身
- 軍人、政治家、第34代アメリカ合衆国大統領
- 第二次世界大戦中に連合国軍の最高司令官としてヨーロッパ戦線を指揮し、ノルマンディー上陸作戦を成功に導いた。大統領としては冷戦下の安定と経済成長を推進し、州間高速道路網の建設や公民権運動初期への対応でも知られている。
英文
“The problem in defense is how far you can go without destroying from within what you are trying to defend from without.”
日本語訳
「防衛の難しさとは、外から守ろうとしているものを、どこまで内側から壊さずに済ませられるかという点にある」
解説
この名言は、国家や社会が外敵から自らを守ろうとするとき、その過程で内なる価値や自由、制度までも侵してしまう危険性に対する鋭い警告である。アイゼンハワーは軍人として国防の重要性を理解しつつも、安全保障の名のもとに民主的原則や市民の自由が損なわれることを深く懸念していた。つまり、敵から守るつもりで採った措置が、結果として自国の精神や制度を蝕んでしまっては、本末転倒であるという哲学が込められている。
「what you are trying to defend from without(外から守ろうとしているもの)」は、民主主義、自由、法の支配、文化的価値など、国家の中核をなすものを指す。そして「destroying from within(内側から壊す)」とは、過度な監視、表現の制限、軍事優先の政治といった、自由社会の根幹を侵す行為である。アイゼンハワーは、自由を守るために自由を捨ててはならないという逆説的だが本質的な真理を、ここで示している。
現代においても、テロ対策や安全保障、パンデミック対策などの名の下で、自由や権利が制限される場面が見られる。この名言は、安全を追求するがあまり、守るべき価値そのものを破壊してしまうことの危険性を明確に示し、防衛とは外に対するだけでなく、内にある原則を保ち続ける意志の試練でもあるという、深い国家観と倫理観を我々に問いかけている。
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