「私は、ドイツにおけるユダヤ人の扱いに対して、ずっと燻るような怒りを抱き続けていた」

- 1904年4月22日~1967年2月18日
- アメリカ合衆国出身
- 理論物理学者、科学行政官、教育者
- マンハッタン計画において原子爆弾の開発を主導し、「原爆の父」と呼ばれる。戦後は核兵器の規制と倫理的責任を訴え、冷戦下の科学と政治の関係に深い影響を与えた。
英文
“I had had a continuing smoldering fury about the treatment of Jews in Germany.”
日本語訳
「私は、ドイツにおけるユダヤ人の扱いに対して、ずっと燻るような怒りを抱き続けていた」
解説
この言葉は、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害に対するロバート・オッペンハイマーの深い憤りを端的に表したものである。彼はユダヤ系の家系に生まれ、文化的・学問的な教養を重んじる家庭で育ったこともあり、同胞への差別や暴力を決して見過ごすことができなかった。この怒りは表面的なものではなく、「smoldering(燻る)」という語からも分かるように、長く内面で燃え続けた深い感情であった。
このような怒りは、単なる民族的連帯を超えて、人道的・倫理的立場からの強い抵抗感でもある。当時のアメリカ社会にはナチスの実態に対する無関心や宥和的姿勢も存在していたが、オッペンハイマーはそうした態度に対しても批判的であった。この内的怒りは、彼の政治的関心やファシズムへの反発、さらには戦争研究への動機にも影響を与えたと考えられる。
現代においても、民族や宗教を理由とした迫害は続いている。この言葉は、沈黙することの危険と、道義的な怒りを持ち続けることの意義を示している。オッペンハイマーのような知識人が、理性と感情の両面から社会不正に向き合ったことは、科学者であっても道徳的立場を明確にする責任があるという強いメッセージとなっている。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
申し込む
0 Comments
最も古い