「楽観主義者は、これが可能な限り最良の世界だと考える。悲観主義者は、それが真実であることを恐れる」

- 1904年4月22日~1967年2月18日
- アメリカ合衆国出身
- 理論物理学者、科学行政官、教育者
- マンハッタン計画において原子爆弾の開発を主導し、「原爆の父」と呼ばれる。戦後は核兵器の規制と倫理的責任を訴え、冷戦下の科学と政治の関係に深い影響を与えた。
英文
“The optimist thinks this is the best of all possible worlds. The pessimist fears it is true.”
日本語訳
「楽観主義者は、これが可能な限り最良の世界だと考える。悲観主義者は、それが真実であることを恐れる」
解説
この言葉は楽観主義と悲観主義の対照を皮肉とユーモアを交えて表現している。一見すると楽観と悲観の態度は価値判断の方向性の違いにすぎないように見えるが、この名言はそれぞれが抱える世界観の深さと不安を浮き彫りにしている。楽観主義者は現実を受け入れ、希望を見出す傾向にあるのに対し、悲観主義者は「これ以上よくなりようがない」としたら絶望的である、という考えに苛まれる。
ここでの皮肉の核は、「最良の世界」という前提にある。もし本当にこれが最善の世界であるならば、現在の欠陥や苦しみをも受け入れねばならず、それ以上の改善は望めないことになる。その見解に対して悲観主義者は恐怖を感じるという論理である。世界は不完全であり、それを変える可能性があるという前提がなければ、希望も行動も無意味になるという含意を持つ。
この言葉は、現代の社会にも通じる。技術の進歩や文明の発展にもかかわらず、貧困、紛争、環境問題は残されたままである。その現実を「最善」と考えることに安堵するのか、それとも恐怖するのか――この問いは、世界をどう見るかという哲学的立場と、変革への意志の有無に直結する。オッペンハイマーのこの言葉は、単なる機知ではなく、現実への鋭い洞察なのである。
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