「人はたいてい、自分が真実であってほしいと望むことを、すぐに信じてしまうものだ」

- 紀元前100年7月12日頃~紀元前44年3月15日
- ローマ共和国出身
- 軍人、政治家、作家、独裁官
- ガリア戦争での勝利により軍事的名声を得て、ローマ内戦を制して終身独裁官に就任。共和政を終焉へと導く政治改革を推進しつつも、元老院派により暗殺された。ローマ帝政への転換点を築いた古代史上最も影響力のある人物の一人として知られている。
英文
“Men in general are quick to believe that which they wish to be true.”
日本語訳
「人はたいてい、自分が真実であってほしいと望むことを、すぐに信じてしまうものだ」
解説
この言葉は、人間の認知が願望に左右されやすいという根本的な心理的傾向を明確に言い表している。証拠や論理よりも、自分が望む結果や信念に合致する情報を信じる傾向――いわゆる「願望的思考(wishful thinking)」は、古代から現代に至るまで変わらぬ人間の弱点である。
カエサルは、この心理を政治や戦争の場面で巧みに利用した。たとえば、民衆が求める平和や改革の期待を意図的に刺激し、彼らが信じたいものを「信じさせる」ことで支持を集めた。また、敵対者の過信や誤解を誘導し、自己の優位を築く戦略にもこの人間心理が活かされた。つまり、人は事実よりも欲望に基づいて判断するという観察が、カエサルの冷静な現実主義を支えていた。
現代社会においても、SNSやメディアの情報が個人のバイアスに吸収され、虚偽や誤解が拡散されるのは、まさにこの言葉のとおりである。人は信じたいことを信じる――だからこそ、客観性や批判的思考が不可欠であるという警鐘として、この名言は今日も深い意味を持ち続けている。
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