「どうしても法を破らねばならぬ時は、権力を握るためにせよ。それ以外は法を守れ」

- 紀元前100年7月12日頃~紀元前44年3月15日
- ローマ共和国出身
- 軍人、政治家、作家、独裁官
- ガリア戦争での勝利により軍事的名声を得て、ローマ内戦を制して終身独裁官に就任。共和政を終焉へと導く政治改革を推進しつつも、元老院派により暗殺された。ローマ帝政への転換点を築いた古代史上最も影響力のある人物の一人として知られている。
英文
“If you must break the law, do it to seize power: in all other cases observe it.”
日本語訳
「どうしても法を破らねばならぬ時は、権力を握るためにせよ。それ以外は法を守れ」
解説
この言葉は、法の遵守が原則である一方で、権力奪取のような重大な目的のためには例外が許されるという、極めて現実主義的な政治哲学を示している。つまり、通常は法の秩序に従うべきだが、権力の掌握という決定的局面では、法を超越する行動も容認されるという考え方である。ここには、目的の正当性が手段を正当化するという「マキャヴェリズム」に通じる論理がある。
カエサル自身、この原則を実践してきた。たとえばルビコン川を渡ってローマに進軍した行為は、明らかにローマ法に反していたが、最終的には国家の安定と秩序回復という大義の下で正当化された。また、元老院の形式的権威よりも、現実の政治的統率力を優先したカエサルの姿勢は、法と実力の関係を象徴的に体現している。
この名言は、現代においても法と権力の関係、さらには非常時における正義と秩序の在り方について根本的な問いを投げかけている。たとえば国家非常権や憲法の緊急停止条項なども、似た論理で制度化されている。この言葉は、法治と権力のせめぎ合いという古代から続く永遠のテーマを、冷徹に、かつ鋭く言い表している。
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