「私は常に、共和国の威厳を最も重要なものと考え、それを命よりも優先すべきものとしてきた」

- 紀元前100年7月12日頃~紀元前44年3月15日
- ローマ共和国出身
- 軍人、政治家、作家、独裁官
- ガリア戦争での勝利により軍事的名声を得て、ローマ内戦を制して終身独裁官に就任。共和政を終焉へと導く政治改革を推進しつつも、元老院派により暗殺された。ローマ帝政への転換点を築いた古代史上最も影響力のある人物の一人として知られている。
英文
“I have always reckoned the dignity of the republic of first importance and preferable to life.”
日本語訳
「私は常に、共和国の威厳を最も重要なものと考え、それを命よりも優先すべきものとしてきた」
解説
この言葉は、個人の命よりも国家、特に共和国という政治体制の尊厳を重んじるという思想を端的に示している。ここでの「dignity(威厳)」とは、単なる形式的な体面ではなく、政治的秩序と法の支配、自由の理念を守るための崇高な価値を意味している。カエサルがこのような言葉を残した背景には、共和政ローマの崩壊と、それに続く内乱の激動があった。
この言葉は、しばしばカエサルの公的理想と私的野心の間にある矛盾を映し出すものとしても引用される。彼は「共和政の守護者」を自称しつつも、終局的には終身独裁官の地位に就き、事実上の単独支配体制を築いた。そのため、この名言は信念として発せられたと同時に、自己正当化の言辞としても読まれうる。それでも、国家の原理や制度への忠誠を表す姿勢としては、一つの政治哲学を体現している。
現代においても、国家や社会の制度を守るために個人が命をかける場面は少なくない。民主主義国家では、法の尊重や制度の正当性を担保することが社会全体の基盤となる。この名言は、個人の利害を超えた公共への忠誠、政治における高潔さとは何かを考えさせるものであり、歴史的にも道徳的にも重要な意義を持っている。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
申し込む
0 Comments
最も古い