「カエサルの妻は疑われるようなことがあってはならない」

- 紀元前100年7月12日頃~紀元前44年3月15日
- ローマ共和国出身
- 軍人、政治家、作家、独裁官
- ガリア戦争での勝利により軍事的名声を得て、ローマ内戦を制して終身独裁官に就任。共和政を終焉へと導く政治改革を推進しつつも、元老院派により暗殺された。ローマ帝政への転換点を築いた古代史上最も影響力のある人物の一人として知られている。
英文
“Caesar’s wife must be above suspicion.”
日本語訳
「カエサルの妻は疑われるようなことがあってはならない」
解説
この言葉は、公の立場にある者は、自身だけでなくその周囲にも一切の疑念を抱かせてはならないという厳格な倫理観を表している。たとえ無実であっても、疑念を招く状況にあること自体が問題であるという立場に立ち、「潔白であること」と「潔白に見えること」の両方が求められるという厳しい理想が込められている。
この名言は、カエサルが自らの妻ポンペイアを離縁した際に語ったとされる逸話に由来する。ポンペイアは神聖な祭儀である「ボナ・デア祭」を主宰する立場にあったが、その場に男性が潜入したという事件が発覚した。直接の関与がなかったとしても、カエサルは「私の妻は疑われるような立場にいてはならぬ」として離婚を選んだ。これは単なる家庭の問題ではなく、公職者の道徳的威信と象徴性の維持を優先した行動であった。
この考え方は、現代においても政治家や裁判官、企業のトップなど、公的責任を負う人物に適用される倫理原則として生きている。説明責任と透明性が重視される現代社会では、「疑われること自体が問題である」という視点はますます重要となっている。この名言は、公人の私生活にも清廉性が求められるという古代ローマの倫理観が、いかに現代にも通じるかを教えるものである。
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