「すべての死の中で最も望ましいのはどれか――『予期せぬ死』である」

- 紀元前100年7月12日頃~紀元前44年3月15日
- ローマ共和国出身
- 軍人、政治家、作家、独裁官
- ガリア戦争での勝利により軍事的名声を得て、ローマ内戦を制して終身独裁官に就任。共和政を終焉へと導く政治改革を推進しつつも、元老院派により暗殺された。ローマ帝政への転換点を築いた古代史上最も影響力のある人物の一人として知られている。
英文
“Which death is preferably to every other? ‘The unexpected’.”
日本語訳
「すべての死の中で最も望ましいのはどれか――『予期せぬ死』である」
解説
この言葉は、死に対する恐怖や苦悩の多くは、その到来を意識することに起因するという、深い人間心理を示している。カエサルの時代には、戦争や陰謀、病によって日常的に死が隣り合わせであったが、それでもなお人々は死の「予感」に苛まれた。突然訪れる死こそ、苦しみや恐怖を感じる余地がない分、最も安らかな形であると、この名言は語っている。
カエサル自身、終生多くの敵を持ち、暗殺の可能性も常につきまとっていた。彼の最期も、まさに予期せぬ死――ブルートゥスらによる元老院での襲撃という形で訪れた。その意味でこの名言は、単なる哲学的命題ではなく、彼自身の覚悟や運命をも反映していると解釈できる。
現代社会でも、延命治療の是非や尊厳死の議論において、「苦しまずに死にたい」「死を意識せずに逝きたい」という声は多い。死の不可避性を認めつつ、その「在り方」に人間らしさを求める感情は、古代から現代まで連綿と続いている。この言葉は、そうした普遍的な願いを簡潔に言い表したものである。
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