「自然が人類に授けた贈り物のうち、子どもほど甘美なものが男にとって他にあるだろうか」

マルクス・トゥッリウス・キケロの名言
マルクス・トゥッリウス・キケロの名言

紀元前106年1月3日~紀元前43年12月7日
ローマ共和国出身
政治家、弁護士、哲学者、雄弁家
共和政ローマを代表する弁論家・思想家として知られ、ラテン文学とローマ法の発展に多大な影響を与えた。政治的混乱の中で共和政の理想を擁護し、著作を通じて西洋政治思想と修辞学に大きな遺産を残した。

英文

”Of all nature’s gifts to the human race, what is sweeter to a man than his children?”

日本語訳

「自然が人類に授けた贈り物のうち、子どもほど甘美なものが男にとって他にあるだろうか」

解説

この言葉は、子どもに対する親の深い愛情と幸福感を、自然の贈り物という普遍的な価値観に照らして讃えたキケロの感情豊かな格言である。彼は、人間の本性に根ざした感情の中でも、親子の絆は最も自然で純粋なものであり、人生において比類なき喜びと意味をもたらすものだと考えた。ここでの「甘美(sweeter)」という表現は、単なる快楽ではなく、心の深い充足と人間的完成を意味する

キケロ自身も家庭人としての一面を持ち、特に愛娘トゥッリア(Tullia)との関係は深く、彼女の死に際しては悲嘆に暮れ、その苦しみを多くの書簡や著作に残している。そうした実体験を背景に、子どもは人間にとってただの存在ではなく、自然の中でもっとも貴く、感情と理性の両面で人生の中心を成す存在であると捉えていた。この格言は、親の愛情が自然法にもとづくものであり、人間の本性として最も高貴な感情の一つであるという信念を語っている。

現代においてもこの言葉は、家庭や子育ての意義、人生における家族の役割について深い共感を呼ぶ。子どもがもたらす喜びは、物質的な成功や地位とは異なる本質的な幸福であり、それは多くの文化や社会に共通する価値である。キケロのこの言葉は、人間の根源的な感情を肯定し、家族という小さな共同体が人生にとっていかに大きな意味を持つかを静かに、しかし力強く語っている普遍的な名言である

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