「顔つきは魂の肖像であり、目はその意志を映し出すものである」

紀元前106年1月3日~紀元前43年12月7日
ローマ共和国出身
政治家、弁護士、哲学者、雄弁家
共和政ローマを代表する弁論家・思想家として知られ、ラテン文学とローマ法の発展に多大な影響を与えた。政治的混乱の中で共和政の理想を擁護し、著作を通じて西洋政治思想と修辞学に大きな遺産を残した。
英文
”The countenance is the portrait of the soul, and the eyes mark its intentions.”
日本語訳
「顔つきは魂の肖像であり、目はその意志を映し出すものである」
解説
この言葉は、人の内面、すなわち魂の状態が外見、とりわけ表情や眼差しに如実に現れるという、キケロの人間理解を端的に示したものである。彼は、顔という外形は単なる肉体的な特徴ではなく、精神や性格の反映であり、特に目はその人の思考や感情、意図を最も明確に伝える部分であると見なしていた。つまり、「目は心の窓である」という古代からの知恵を、倫理的かつ哲学的に言語化した格言である。
この考え方は、キケロの弁論術にも通じており、説得力ある発言には言葉だけでなく表情や視線、態度の誠実さが欠かせないとされていた。雄弁家としての彼は、表現される感情と内面の一致、すなわち言動と人間性の調和を重視し、それが他者との信頼関係の基礎をなすと理解していた。この言葉は、外見を飾ることではなく、内面を磨くことの重要性を強く訴えている。
現代においても、この言葉は人間関係の核心を突いている。視線の動きや表情は、言葉以上に雄弁にその人の本音や真意を語る。たとえば、誠実な人物は自然と穏やかな表情とまっすぐな眼差しを持ち、虚偽を抱える者はしばしば目をそらし、顔に緊張や不調和が現れる。キケロのこの格言は、外面と内面の関係を見つめ直し、人間性の真の価値は顔立ちそのものではなく、それに宿る魂の質にあることを明確に教えてくれる。
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