「この全宇宙を、神々と人間が共に属する一つの国家として捉えねばならない」

- 紀元前106年1月3日~紀元前43年12月7日
- ローマ共和国出身
- 政治家、弁護士、哲学者、雄弁家
英文
”We must conceive of this whole universe as one commonwealth of which both gods and men are members.”
日本語訳
「この全宇宙を、神々と人間が共に属する一つの国家として捉えねばならない」
解説
この言葉は、宇宙全体を統一された理性と秩序によって結ばれた共同体として捉える、キケロの宇宙観と倫理観の核心を示している。彼は、神と人間は共に理性を共有する存在であり、それゆえに共通の法と義務のもとに生きる「宇宙的共同体(cosmic commonwealth)」を構成していると考えた。これは、人間の道徳的義務が自然法に根ざす普遍的なものであるという思想にも通じる。
この見解は、ストア派哲学の影響を強く受けている。ストア派では、宇宙は理性によって支配されており、すべての存在が一つの全体の中で調和し、神と人間もまた同じ自然法に従う仲間であるとされた。キケロはこの思想をラテン世界に紹介し、政治や法律の正当性もこの宇宙的秩序に照らして考えるべきであると説いた。つまり、すべての人間は法の前に平等であり、神意と理性に従って行動する義務を負うという普遍主義が根底にある。
現代社会においても、この言葉は倫理や法の普遍性を考える上で示唆に富む。国家や宗教、文化の違いを超えて、すべての人間が一つの共同体の一員であるという視点は、人権・環境・国際協調の理念において不可欠な基盤である。キケロのこの言葉は、人間の尊厳と義務、さらには自然との調和的共存を視野に入れた、広大な倫理的世界像を私たちに提示している。
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