「我々の性格は、人種や遺伝の産物というよりも、自然が我々の習慣を形づくり、我々が養われ生きる環境によってつくられる」

マルクス・トゥッリウス・キケロの名言
マルクス・トゥッリウス・キケロの名言

紀元前106年1月3日~紀元前43年12月7日
ローマ共和国出身
政治家、弁護士、哲学者、雄弁家
共和政ローマを代表する弁論家・思想家として知られ、ラテン文学とローマ法の発展に多大な影響を与えた。政治的混乱の中で共和政の理想を擁護し、著作を通じて西洋政治思想と修辞学に大きな遺産を残した。

英文

”Our character is not so much the product of race and heredity as of those circumstances by which nature forms our habits, by which we are nurtured and live.”

日本語訳

「我々の性格は、人種や遺伝の産物というよりも、自然が我々の習慣を形づくり、我々が養われ生きる環境によってつくられる」

解説

この言葉は、人間の性格や徳性は先天的な血筋や遺伝よりも、環境や習慣の中で形成されるという考えを示している。キケロは、人の本質が育まれた文化や社会的背景、日々の経験の積み重ねによって形作られると捉えており、これは後世の経験論的思想や環境決定論にも通じる視点である。徳や人格は学びと慣れによって育てられるというストア派的倫理観もここに影響している。

この思想は、ローマ市民としての理想的な教育や習慣が、市民の人格形成にいかに重要かを示す文脈でも用いられる。キケロは若きローマ人に対し、道徳的で賢明な社会制度の中で育つことが、偉大な人物を生む土壌であると繰り返し説いた。つまり、人は生まれながらにして決まっているのではなく、日々の行動や環境によって「なるもの」であるという教育哲学が根底にある。

現代においてもこの言葉は極めて示唆的である。教育格差や家庭環境、社会的支援の有無が個人の人格や能力形成に強く影響することは数多くの研究でも証明されており、個人の努力だけでは超えがたい構造的な要因があることを認識する視点ともなる。キケロのこの言葉は、人間の可能性を環境によって高められるという信念と、それに伴う責任の所在を明示している

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