「ああ、“ワッコ・ジャッコ”って、あれはどこから来たんだ?イギリスのタブロイド紙か何かだろう。僕にも心があるし、感情がある。ああいうことをされれば、僕はちゃんと傷つく。それはひどいことなんだ」

- 1958年8月29日~2009年6月25日
- アメリカ合衆国出身
- 歌手、作曲家、ダンサー、音楽プロデューサー
- 「キング・オブ・ポップ」と称され、『Thriller』『Billie Jean』『Beat It』など数々のヒット曲を生み出した。独創的なパフォーマンスとミュージックビデオで音楽界に革命を起こし、世界的なポップカルチャーの象徴として知られている。
英文
“Yeah, Wacko Jacko, where did that come from? Some English tabloid. I have a heart and I have feelings. I feel that when you do that to me. It’s not nice.”
日本語訳
「ああ、“ワッコ・ジャッコ”って、あれはどこから来たんだ?イギリスのタブロイド紙か何かだろう。僕にも心があるし、感情がある。ああいうことをされれば、僕はちゃんと傷つく。それはひどいことなんだ」
解説
この言葉は、メディアによる侮蔑的な呼称への痛切な抗議と、人間としての尊厳の主張を表している。「Wacko Jacko(ワッコ・ジャッコ)」というあだ名は、マイケル・ジャクソンの奇行をセンセーショナルに報じたタブロイド紙によって作られ、広く流布された。しかしこの言葉の中には、名声の裏で繰り返し人格を傷つけられてきた彼の苦しみと怒りがにじんでいる。
「僕にも心があるし、感情がある」という一節は、非現実的なイメージの中で消されがちな人間性への回帰を訴えるものである。どれほど有名であっても、侮辱や悪意に対しては深く傷つくという当たり前の事実を、彼は改めて世界に問いかけている。「それはひどいことなんだ(It’s not nice)」という締めくくりには、冷静ながらも強い拒絶の意志と、根底にある悲しみが感じられる。
この名言は、現代のメディアリテラシーやSNS時代の誹謗中傷の問題に通じる。一人の人格をラベルで定義し、消費することの暴力性を、マイケル・ジャクソンという被害者の口からあらためて知らされる。誰かを言葉で傷つける前に、その言葉の重みと、相手の心に与える影響を想像する想像力こそが求められている。この言葉は、尊厳を守るための最低限のマナーと人間理解の大切さを静かに突きつけている。
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