「人間は物理的存在として、他の物体と同様に不変の法則によって支配されている」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“Man, as a physical being, is like other bodies governed by invariable laws.”
日本語訳
「人間は物理的存在として、他の物体と同様に不変の法則によって支配されている」
解説
この名言は、人間もまた自然界の一部であり、特別な存在ではなく、物理的法則に従う存在であるという啓蒙的自然観を端的に表している。モンテスキューは、人間の身体や行動も、自然界の他のすべての物体と同様に、因果関係と法則性に支配されていると考えた。これは、人間を神秘や奇跡ではなく、理性と科学によって理解すべき対象とする啓蒙思想の一環である。
この視点は『法の精神』の序文に通じており、モンテスキューはあらゆる存在――人間、動物、社会、国家――に対して、それぞれ固有の「法(loi)」があるとし、それを理解することが社会の秩序や正義の鍵となると考えた。人間も物理的存在である以上、自然法に従って生き、動き、老い、死ぬという普遍的な枠組みから逃れることはできないという冷静な認識が込められている。
現代においてもこの名言は、人間を自然科学や生物学の対象として客観的に捉える視点、すなわち人間中心主義を超えた科学的思考の出発点として意義深い。また、人間の理性や自由意志も、ある種の条件や制約のもとに存在しているという、謙虚で理性的な世界観を提示している。人間もまた自然の一部であり、その限界を理解することが、真の自由と知への道である――それがモンテスキューの哲学的視座である。
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